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【いきかた図鑑No.5】~鎌野暁人さん~

目次

鎌野さんのプロフィール

今回のインタビューについて

ー少し内気なサッカー少年時代

ー地元の中小企業を後押ししたい

ー相手の立場に立つ

ー社会人だから遅いなんてことない

ー相手の期待を越えたい

ー人を巻き込む力と好奇心は及ばない

ーレールに乗らない人生がかっこいい

インタビュー本編

編集後記



鎌野さんのプロフィール

慶應義塾大学卒業後、金融機関に就職し、中小企業向けの営業を行っている。また、大学在学時~現在にかけて、ブラインドサッカーチーム「buen cambio yokohama」にてプレーヤーとして活躍中。


今回のインタビューについて

「レールに乗って生きてきた」人生が、大学生になって変わったという鎌野さん。大学で何に出会い、何を想い、どのように変化してきたのか。鎌野さんの考え方・価値観に迫ります。最後までお楽しみください!





少し内気なサッカー少年時代

ー学生時代はどのような人でしたか?

高校まではずっとサッカーをしていて、チームでは先頭を走るというより支えるタイプで、副キャプテン的な役割を果たすことが多かったです。特に支えるという思いでやっていたわけではないけれど、水汲みやボール拾いなど地味なことは誰よりも真面目にやろうと心掛けていたかな。


ーでは、小さい時の夢は何でしたか?

ずっとサッカーしかやってこなかったから、高校まではあまり考えてなかったけど、世界でっていうよりも身近な目の見える範囲で何かをしたいという漠然とした思いがありました。中高男子校で狭いコミュニティだったし、内向的な性格っていうのもあったので。大学2年生でブラインドサッカーに出会って、地域を盛り上げたいという思いがより強くなりました。


ー今までの人生の中で、影響を受けた人はいますか?

大学でブラインドサッカーをきっかけに出会った落合啓士*¹さん。初めて出会ったタイプの人で、他人を巻き込む力がすごいな新鮮だなって思いました。落合さんに出会って8年が経った今、buen cambio yokohama*³(以下、buen)に来てくれた若い子や、自分たちが足を運ぶ小中学校の子たちに同じような影響を与えられるような人になりたいって思うようになりましたね。

あと、影響を受けたっていうと、ちょうど同じ時期に受講していた大学の「地域との対話」*²っていう授業との出会い。自分自身の内向的な性格が変化するきっかけでした。


*¹ ブラインドサッカー元日本代表。いきかたずかんインタビュー第1弾に登場。

*² 慶應義塾大学商学部少人数セミナーのひとつ。フィールドワークを行いながら、地域の抱えるさまざまな問題(商店街の活性化、子育て・障害者支援、地域コミュニティのあり方など)について調査・提言を行う授業。

*³ 神奈川県唯一のブラインドサッカーチーム



地元の中小企業を後押ししたい

ー金融機関に勤めていらっしゃる鎌野さんですが、現在の会社に務めようと思った背景は何ですか?

自分の目の届く狭い範囲で思いっきりやってやろうという思いは変わらなかったので、大企業に行くのは気持ちが進まなくて、こつこつやれる自分の性格的にも金融業界に行ってみようと思ったからですね。


ー就職前後でギャップはありましたか?

もっと自分の創造性やアイディアを生かせると思っていたんですけど、最初はパズルにはめていく感じの、かなり決まりごとに縛られる業務が多かったです。顧客は中小企業がメインで、業種柄、事業資金(融資)での提案が多かったけど、お客さんとやり取りを重ねていくと、お金で解決できない問題で悩んでいる人が多いなということも感じました。そういう部分に自分の知識や経験を活かしていけると思いましたね。


ー現在、新たなチャレンジとして中小企業診断士になるためのビジネススクールに通っているそうですが、実際に通ってみて感じたことはありますか?

インプットとアウトプットの両方大事ということを実感したかな。インプットは1次試験の勉強で既に身についていて、今ビジネススクールではグループで実際にお客さんの相談に乗るなどのアウトプットの方をしています。自分は内向的な性格なので意見を表に出すアウトプットは苦手だけれど、そこに課題感を感じると共に、ここからどのように成長できるかなという楽しみな思いもあります。


相手の立場に立つ

ー今まで一番やってよかったな、成功したなと思う経験はなんですか?

今ぱっと思いつくのは、所属しているブラインドサッカーチームbuenで大人向けの体験会を開催したことです。僕がファシリテーターのひとりとして、開催したイベントなんですけど、年齢的には大先輩の中小企業の社長なんかとも、積極的に楽しくコミュニケーションがとれて。そういう参加者の人たちの顔が、イベントの前後で目に見えて変わったのが、やりがいに繋がったし嬉しかった経験でした。

どうすれば相手にうまく自分の伝えたいことが伝わるか考えながら準備して、実際にそれが伝わった達成感は大きいです。


ーこの経験を機に自分の中で変化したことはありましたか?

やっぱり年齢やバックグラウンドが人それぞれ違う中で、一人ひとりに最適な伝え方も違って当たり前なんです。その中で自分が主催者側として一つのイベントを作ったことで、参加者一人ひとりにとって一番いい方法はなんだろうっていうのはよく考えるようになりました。



社会人だから遅いなんてことない

ー逆に、今までの人生で後悔していることはありますか?

一番は大学生活ですかね(笑)。僕がブラインドサッカーに出会ったのも大学時代なんですが、いい出会い過ぎてそれしかやってこなかったから(笑)。他にも2,3個何かに打ち込んでおけば良かったという後悔はあります。アカデミックな部分を疎かにしてしまったというか。

当時はすごく視野が狭かったと思うんです。就職のためとかは抜きにして、長期インターンとかやっておけばよかったと思うことはあります。

ただ同時に、そういう後悔はあっても、社会人になっても遅くない、まだまだ何でもできるっていうのも最近感じています。人生まだまだ捨てたものじゃないって。


ー次にブラインドサッカーについて伺いたいのですが…

大学でブラサカに出会って、今はbuenの代表を努める中で、意識していることはありますか?

実は、学生時代を通しても典型的なリーダータイプというよりは、支える立場のことが多かったんですよね。buenの代表になった今も、みんなをサポートするリーダーを目指しているし、実践しているつもり。

自分には、ハートの熱さで組織を引っ張っていくみたいなことはできない気がしていたので(笑)敢えてそこで無理して戦うんじゃなくて自分ならではのリーダー像を求めるようになりました。


ーずばり、ブラサカはどんなスポーツですか?

ブラインドサッカーは面白いスポーツかつ人に影響を与えられるスポーツだと思います。自分自身がブラサカをきっかけに色々変化を感じたから、それを下の世代にも伝えていきたいと思っているんです。


ーブラサカはよく「思いやりのスポーツ」とも言われますが、それを感じる場面はありますか?

ブラサカでは、フィールドプレーヤーは全員アイマスクをする、つまり暗闇の中でプレーをするから音が何より大切です。暗闇の中でシュートを決める道筋は、チームのメンバーが「音」を通じて作ってくれます。

だから、試合中にガイドから声をもらうには自分がどんなことを考えているのかを日々ガイドの人に伝えておく必要がある。

あとは、ディフェンスする時には選手同士が必ずVoy*⁴っていう声掛けをして「音」で自分の存在を知らせます。そうしないと危険な衝突などが起こってしまうので。

そういうところから、ブラサカは「音」を通じて敵・味方双方に尊敬や思いやりの心を持ちながらプレーするスポーツだと感じています。


*⁴ ブラインドサッカー特有の掛け声



相手の期待を越えたい

ー鎌野さんにとっての幸せとは何ですか?

仕事の話で言えば、自分が何かサポートをして、相手の表情が変わる瞬間に出会えることですね。buenでも周りの人の表情が変わっていくのが感じられたときに、やりがいを感じるし、それがモチベーションになっています。自分の働きや想いが人に伝わった時が一番嬉しいです。芸人じゃないけどギャグをして笑ってくれるというのとちょっと近いかもしれないですね。


ー人生において一番大切にしたいことはなんですか?

「目の前にいる人を裏切らない」「期待を超える」この2つですかね。

仕事でいえば、お客さんとの約束を守るとか当たり前のことをしつつ、期待を超える成果や情報は持っていくようにしていて、相手の社長の考えを超える何かができれば、信頼感が生まれるんです。だから、そこはすごく大事にしています。

buenの話でいうと、メンバーの期待を超えるのはリーダーとして当然だと思っていて、さらに、次は若いメンバーたちに、イベントの参加者たちの期待を超えるぞっていう思いを持ってもらえるよう、彼らのやる気を引き出すことも意識しています。次から次へと連鎖を生んでいく事をbuenでは頑張ろうとしてますね。


人を巻き込む力と好奇心は及ばない

ー「敵わないな」って思うのはどんな人ですか?

ぱっと出てきたのは、おっちー(落合啓士さん)と、大学同期ですかね。

おっち―についていえば、人を巻き込む力は半端ないなと思っていて、これは及ばないなという感じです。大学同期の方は、中学の時からずっと一緒で、長い付き合いをさせてもらているんだけど、中学の頃からとにかく好奇心旺盛で何でもやるんだ、行動力だとか他人に対する興味の強さというか、そこは彼には及ばないし、尊敬しているし敵わないなって感じです。


ー鎌野さんは大学生になってからレールから外れた人生を歩みだしたっていう風におっしゃっていて、そのレールから外れたことで、変わったこと、やるようになったことはありますか。

そうだなあ、仕事の面で言えば、前例を疑うようにしているってことですかね。金融機関って一人のお客さんに対して2,3年に一回担当が変わっていくんです。前の担当と同じことはしないようにしていて、そのために何をすればよいかっていうと、切り口を変えるしかないんですよね。営業訪問での会話の切り口を変えるとか。あと金融機関はほかにもたくさんあるので、その中で突出するには何か一つ武器が必要で、中小企業診断士という資格で凡人の金融機関人にはならないように意識し始めています。。


型にはまっていない人と仕事をしたい

ー今実際にお仕事していて、どんな人と仕事をしたいと思いますか。

そうだねえ、型にはまっていない人と何かしたいです。なかなか見つけられないんですけど。だから自分が発想豊かな人材なんだよっていうのを後輩に見せながら、仲間探しをしていきます。

あと、今通っているビジネススクールには日本全国の金融機関で働いている人であったり、メーカー勤務であったり、独立している人であったり、年齢も20代後半から60代までいっぱいいるので、会社の中では感じられないものはこの半年で色々吸収できると思うから、会社の外でもロールモデルのような人を見つけていきたいと思ってます。


ー人生に対する不安ってありますか。また、それにどう対処しようとかんがえてらっしゃいますか。

仕事でいうと、現在7年目で、あと10年先を考えたときに、自分の能力だったりやりたいことを考えると現在の職業で自分のやりたい仕事があるかがちょっと不安。当然やりたくない仕事もやらなくてはいけないから、そのあたりで自分の気持ちが爆発しちゃうとっていう感じです。


ー10年後(将来)どういう人間になっていたいですか?

人に影響を与えるという軸はぶれないとして、これも恥ずかしい話にはなるけど(笑)仮に子供が生まれた時に「お父さんかっこいい」って言われたいです。


レールに乗らない人生がかっこいい

鎌野さんはどういう面でかっこいいって言われたいですか?

言葉を借りるとしたら、レールに乗っていないところですね。自分で考えて自分で何か生み出してビジネスを起こしたとか、そういう面で言われたいですね。





編集後記

鎌野さん自身の出会いをきっかけに、人に影響を与えたいという思いが強く芽生え、仕事やブラインドサッカーという複数のフィールドでその思いを体現しているのが印象的でした。自分の意思を行動に移せる強さを持ち合わせ、レールに乗らない人生を走り続けている鎌野さん。素敵なお話をありがとうございました。




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