目次
竹田さんのプロフィール
今回のインタビューについて
インタビュー本編
ー高校時代に気付いた多様な生き方
ー活き活きと夢を語れる社会にしたい
ー思いがけない起業との出会い
ー起業家の明と暗
ー日常の中で1個でも多く情報を得ること
ー笑顔って何だろう
ー夢の実現装置・夢に近づくための試練を与えてくれるもの
編集後記
竹田さんのプロフィール
慶應義塾大学 商学部 牛島利明研究会のOB。現在、一般社団法人ウィルドア共同代表。「キャリア教育・探究学習」をテーマに、高校生に向けて「今を生き抜く力」「自分らしく生きていく力」を磨いて行けるようなプログラムを実施している。
今回のインタビューについて
私たちいきかたずかんが所属する牛島利明研究会のOBである竹田さんにインタビューさせて頂きました。ゼミに在籍中はソーシャルプロジェクトの1つ「FDP」を立ち上げ、現在はキャリア教育の分野で起業しています。今回のインタビューでは、そこに至るまでの背景や今後に向けた思いについて、熱い思いを持って語ります。ぜひ最後までお楽しみください。
高校時代に気付いた多様な生き方
ーキャリア教育に興味を持ったのはなぜですか?
最初にこのテーマに問題意識を抱いた背景は、高校時代で、通っていた神奈川県の進学校に生き辛さを感じていたことで。当時の自分は、同世代とのコミュニケーション能力が低くて、ユーモアがなければ趣味もポケモンくらいしかなくて、話が合わなかったんです。周りの目を気にして生きていたので、部活には入らず、生徒会には入ったけどすごく気が合う人がいたわけでもなく居場所がなかった…
そんな中で先生に勧められた、神奈川県の議員が集まる「神奈川県の未来を高校生が考える」というようなイベントに参加して、ここで人生変わったなという印象があります。
そこには、「俺起業する!」と活き活きと生きている人や、工業系で懐が広くてかっこいいなっていう人など様々な人がいて。ここで出会った人たちと一緒に活動する中で多くの生き方があるんだと気付きましたね。
活き活きと夢を語れる社会にしたい
ーそのイベントではどのようなことを考えたのですか?
「神奈川県の高校生の問題って何だろう?」というテーマに対して考えたのは「夢がない」ということです。「自分がこうしたい!」という非現実な夢を語る人よりも、安定志向の高校生が多くて、もっと活き活きと夢を語れたらいいのに…と考えていたかな。家に帰れば両親は疲れていると言う話はよく聞くし、満員電車を見てもみんな顔が死んでいる、「世の中にいるかっこいい大人はイチローしかいない!活き活きと生きている大人にもっと出会える世の中にしたい!」と県知事に提案しました。
ー以来、キャリア教育にのめり込んでいったという感じですか?
そうですね。大学1年の時には予備校で働く中で、「夢指導」という形で、なぜ受験をするのか、受験で何をしたいのかについて指導したり、地域との対話*¹も1年の時から参加して学んでいました。
その後、牛島ゼミに入り、高校生に何かできたらいいなという思いからFDP*²を立ち上げました。だから、当時抱いた違和感は今も覚えているし、当時の自分のように苦しんでいる高校生を救いたいというのが自分のモチベーションの源泉になっています。
*¹ 慶應義塾大学商学部少人数セミナーのひとつ。フィールドワークを行いながら、地域の抱えるさまざまな問題(商店街の活性化、子育て・障害者支援、地域コミュニティのあり方など)について調査・提言を行う授業。
*² 牛島利明研究会のプロジェクト「Future Design Project」
思いがけない起業との出会い
ーそれでは、なぜ起業という生き方を選んだのでしょうか?
小4の時に、株式会社ポケモンに入るのが夢で、その時に採用募集の欄を見たら「経営経験ある人のみ」と書いてあったので、大学の時に起業・経営して、ポケモンに入るんだ!って決めていたんです(笑)それが起業との出会いでした。とはいえ、起業について何も知らなかったので、漠然と経営をするというイメージで考えていました。その後、高校生の時に出会った起業している先輩に刺激受けて、周りの意見に囚われずやりたいことをやるのに憧れました。そして、東日本大震災をきっかけに、自分が助けに行ける立場が良いなとより強く思いました。というのも、会社に入ると、会社が優先で中々ボランティアとか出来ないイメージがあったんですよね。だから、自分で意思決定ができる・自分の力で助けられるスキル・権力があったらいいなと思い、起業という生き方をしたいと思いました。大学ではソーシャルベンチャーというような起業している人にも多く出会ったので、憧れは募るばかりでしたね。
ーでは実際に起業をするまでにどのような道のりを歩まれたのでしょうか?
はじめは大学在学中に起業して、ダメだったら就職すればいいやと思っていたんですけど、結局大学4年間で起業は出来ませんでした。大学4年の時に、起業は出来てないけど、せめて団体を立ち上げたいという思いから、牛島ゼミでFDPを立ち上げました。そこから、高校時代の部活のOBにサポーターをお願いして学んだり、横須賀のNPOと出会ってイベントをやりましょうという話になったり、起業したら?と誘われたり。でも、結局両親に反対されていたから、大学院に進学し、そこを隠れ蓑としながら起業しました。スタートアップで上場!というよりは、そろりそろりと起業の夢に向かっていったという感じですね。
起業家の明と暗
ー好きなことを仕事にすることに対してよかったことはありますか?
ある種のストレスがないことかな。会社に入ると、自分のやりたいと思うことに向かって活動ができなかったり、人間関係で悩んだりすることがあると思います。でも今の働き方だと、自分の働きたい人と働けるし、やりたいこともできるし、出会った人の数も多いんです。仕事の同僚って仲良くなっても、仕事が終われば縁が切れることが多いという人もいるけど、僕の場合、自然体でいれるし、自分の創りたい未来に向けてどんどん末永く共に活動する仲間が増えている感じがします。
ー一方で、好きなことを仕事にして困難だったことはありますか?
起業家は夢を追いかけ、やりたい方向に持って行くイメージあるけど、なかなか思い通りにいかなくて、夢と現実の狭間に悩み苦しむことがあります。最初の2年間は、交通費くらいしか稼げずバイトしながら起業していました。3~4年目になり、自分の給料を払えるようにはなったものの、給与やワークライフバランスは他の大学同期の方が良いだろうなと思うこともあり、自分の理想に向かって自分で進むしかない状況は道筋が見えずもがき苦しむ感覚でした。何もしてないのに、涙出てくるときもあったし、うつ病に一歩入りかけるような辛い状況のときもありましたね。
日常の中で1個でも多く情報を得ること
ーやりたいことを一貫して行ってきたという印象を受けたのですが、やりたいことがない学生に対してのアドバイスはありますか?
高校生と向き合っている中で大事にしていることと繋がるんだけど、大前提として「まずは知らなきゃわからない」と思います。例えば、子供がサッカー選手になりたい!っていうのは、サッカーを知っているからこそ抱く夢だと思うんだよね。サッカーを知らない世界でサッカー選手になりたいと思う人はいないから。あと、人によって幸せの形は無限にある中で、その幸せを生みだすための仕事は確率論で出会える人と出会えない人がいると思います。そういう意味では、やっぱり「とにかく知ること」。色々な人に話を聞きに行ったり、本や新聞を読んだり、日常の中で一個でも多く情報を得る努力をしてみること、アンテナを張ってみること、そこから全てが始まるんじゃないかな。情報を得た後は、実際に家を出て色々な経験を積むのが大事ですね!
ーなるほど…竹田さん自身は昔から新たなことに果敢にチャレンジするタイプだったんですか??
うーん、僕はチャレンジは苦手です。自分が心地よいと思う範囲で動くことはできるけど、コンフォートゾーンを乗り越えるのは苦手かな。でも牛島先生との出会いは偉大です。大学1年生の頃から地域との対話でお世話になっていて、先生に誘われたイベントは全て参加していました。これが僕のできる範囲を伸ばしていった要因ですかね。最初は先生の紹介で繋がって、そこで出会った人からの紹介で繋がっていき…僕自身もどんどんアンテナを広げていきました。まずは誘われてみること、流れに乗ってみることが大事かな。
笑顔って何だろう
ー唐突ですが、竹田さんにとっての幸せとは何ですか?
「人を笑顔にしたい」というのが根本にあるんですね。小学校の時にいじめられていたこともあって笑わない子だったんです。すごくその時期が辛くて…でもポケモンのイベントに行って、いい仲間たちに出会って、いかに自分を笑顔にしてくれたポケモンが偉大なのかということに気づきました。その時から僕の夢は「子供を笑顔にする」になって、笑顔って何だろうって常に考えるようなりました。僕が行き着いた答えは、「今よりも先の未来に無条件にワクワクする姿があって、そこに今向かっていってる感覚を得られている時になれるもの」です。この笑顔って人に伝播するんじゃないかな。こういう笑顔の状態が幸せなんだと思います。そして、笑顔の人を増やしたいという思いからキャリア教育だったり、子供と一緒に将来の夢を考え道筋を決めたり…そういう仕事を今しているんです。まあ、もう少しプライベートに寄せて考えてみると、常にこうなったらいいのにという想像をして、そこに向かっていけるのが幸せだと思います。常に自分のワクワクする先を持てる余裕を持ち続けたいな!って。
ーワクワクする未来を持ち続けるために、竹田さんが大切にしていることって何かありますか?
「人に語れる人生にしたい」という軸は就活の時から持っているかな。成功失敗問わず、自分の人生を誇らしく語れる人って素敵だなって思うし、そういう生き方が幸せなんだろうな…と僕は思っています。だから、「胸を張って人に語れないことはしない!」は常に意識しています。就職しなかったのも、語れるストーリーの中に就職という選択肢がどうしても当てはまらなかったからなんですよね。起業し続けているのも同じ理由で、ここで諦めたら、自分のストーリーが紡げなくなってしまうという感覚があったんです。
ー「今後こうなっていたいな!」と抱いている夢はありますか?
多くの人が自分のありたい姿に向かって生きている、そのような仲間に囲まれている状態になりたいなと思います。あと、僕自身の昔からの夢が「〇〇といったら竹田」みたいに色々なところに呼んでいただけたら嬉しいなと思っていて!なんだかんだスポットライトが当たるのが好きなタイプで、自分の考えや経験を語ることで誰かの役に立っていたり感謝されたりすると嬉しいですね。
夢の実現装置・夢に近づくための試練を与えてくれるもの
ー私自身も竹田さんの考えや経験を聞いてワクワクしてました(笑)
最後の質問になるのですが、竹田さんにとって今のお仕事はどういう存在ですか?
ウィルドアという組織に属している一個人と見た時に、この仕事場は、夢の実現装置・人を引き寄せる装置だという感覚はあります。自分のワクワクする未来を作るために必要不可欠なものだなと!それと同時にすごく試練を与えてくれるんですよね。組織って法人であって、その法人を育てる仕事をする中で、色々な問題が起きてくるんですよ。大人数になったらどう目線を合わせるのか、どうコミュニケーションをとるのか、どういう戦略を立てればこの組織は大きくなるのかとか…。この過程ってすごく僕に成長の機会をくれていて…。だからウィルドアでの仕事は、夢の実現装置であると同時に、夢に近づくための試練を与えてくれるものだなと思います。
編集後記
ご自身の高校時代の経験から、キャリア教育の道を突き進んできた竹田さん。起業家として、いくつもの壁を乗り越えながら、高校生たちに希望を与え続けるその姿勢が素敵だなと思いました。一貫した熱い思いをお聞きして、私たちまでわくわくさせて頂きました。
竹田さん、ありがとうございました。
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